【ひとり広報・PRになったら読む記事】

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ひとり広報

ひとり広報・PRに新任された方、新人広報、広報初心者なら知っておきたい活動の全体像をばっと確認できる記事です。

本記事では、「PRとは」「自社とは」「メディアとは」といった、PR・広報として活動するためにどんなことを知っていればいいのかのサマリーです。 1人で広報をスタートするとわからないことがたくさんありますが、みんな最初は新人広報、この記事を参考にしてみてください。

PR・広報職に今後着きたいと考えている方はこちらも参考にしてみてください。

目次

PR・広報を学ぶ順番

新人広報 

新任ひとり広報・PRになったら、まずプレスリリースをどう書くかや、メディアにアプローチするためにどうすればいいのかを調べる人が多いようです。しかし、PR・広報の業務・how toだけを学んでも成果につながるには時間がかかってしまいます。

効率よくPRについての理解を深めるためにも、まずは、PRの前提を理解し、その上で自社や関連するステークホルダーを把握。最後にPR・広報の業務について学んでいきましょう。

ひとり広報のミッション1:PR・広報をざっくり知る

まずはPRとは何かを知りましょう。

PRとは、「大衆の、公衆の」を意味する”Public”と、「関係、交渉」の”Relations”の頭文字を取った略語です。組織と組織をとりまくパブリックの間の、相互に利益のある関係を築く「戦略的コミュニケーションのプロセス」「思考」であり、混同されるような「情報発信すること”だけ”」がPRではありません国際PR協会によるPRの定義からも日本国内で使われている「PR」がねじ曲がって伝わっていることがわかるはずです。

パブリックリレーションズは、信頼のおける、倫理的なコミュニケーション手法を通し、 組織と組織をとりまくパブリックとの間に、関係と利益を築くため、意思決定の管理を実践することである

Public relations is a decision-making management practice tasked with building relationships and interests between organisations and their publics based on the delivery of information through trusted and ethical communication methods.(IPRA,Oct. 2019)

国際PR協会(IPRA:International Public Relations Association)によるPRの定義

もちろんメディアを介した情報発信はPRの重要な役割の1つですが、「組織と組織をとりまくパブリック」すなわちステークホルダー(企業・行政・NPO等の利害と行動に直接・間接的な利害関係)との関係構築を進めていく活動が『Public Relations』なのです。

PR・広報についてはこちらでもご紹介しているので参考にしてみてください。

PRについてのもう一歩踏み込んで理解する

社内で求められやすい役割であるメディアリレーションズの前に、まずはパブリックリレーションズ全体を理解しましょう。全体を把握することで効率よく理解を進めることができます。

書籍で理解を深める

おすすめの書籍を1冊ご紹介します。おすすめの書籍は他にもまとめていますので、参考にしてください。

日本パブリックリレーションズ協会による「広報・PR概説: PRプランナー資格認定制度1次試験対策テキスト」は資格の取得を考えていない方にもおすすめの書籍です。もちろん新任ひとり広報・PRにも。

PRがどんな成り立ちで生まれたのか、どのようなステークホルダーに対して、どのような視点で合意形成をきづいていくのかなど、PR・広報について理解する入門編として活用できます。

勉強会・イベント・コミュニティで理解を深める

PRについての理解を深めるために、同じように課題を抱える他社のPR・広報担当者と交流する機会を持つことは大切です。特に1人で広報・PRを担当していると目標・参考になるPR担当者との出会いは、その後のPR人生を左右します。おすすめの広報・PR勉強会・イベント・コミュニティもまとめましたので、こちらも参考にしてみてください。

基礎を学ぶ場合は、上記の書籍同様公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会のセミナーがおすすめです。広報・PRビギナー向けの講座を始め、新任広報部長向け、国内外の社会的かつタイムリーなテーマを取り上げたセミナー・イベントを開催しています。1人で広報をスタートする上でも安心して参加ができます。

PRパーソンとの出会いを期待するのであれば、比較的開催頻度の多いコミュニティに参加するのが良いでしょう。広報・PRにまつわる特定のテーマについて、実際の経験や知識をLT(ライトニングトーク)形式で共有するコミュニティ#PRLTなどがおすすめです。

最近はTwitterで情報発信をするPRパーソンも増えてきましたので、SNS上でコミュニケーションをとるのも良いのではないでしょうか。

ひとり広報のミッション2:自社を知る

ひとり広報

PRの役割は自社(事業・組織)とステークホルダー、そして社会を繋ぐ(関係構築)こと。そのためには自社についての理解を深めることが最重要です。まずは自社の特徴・強みを理解し、社会と合意形成するためのストーリー作り、その糸口を見つけます。メディアリレーションズをする際に”ネタがない”状態にならないために、自社にどんな要素があるのかを分解して把握しておくことが大切です。

自社を知るには「企業を知る」「事業を知る」「組織を知る」こと、そしてそれぞれの「基本と現状」を知ることを進めていきましょう。

企業を知る

・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・理念を理解する
・MVVをどう実現していくのかを知る
・どんなテーマで戦っていくのかを知る
・誕生の背景を知る
・社歴を知る
・世の中の評価・認知を知る

自社を知るための一丁目一番地は、企業として何を軸に、どこに向かおうとしているのか、それをどうやって実現していくのかを理解すること。特にひとり広報は経営者と近くで行動することが多いため、この前提のすり合わせが欠かせません。

企業としての存在意義であるMVV・理念を把握し、それに対して過去どのようなことを進めてきたのか、未来はどんなことを想定しているのか、時間軸で企業について理解を深めましょう。

合わせて、どのような市場・テーマで戦っていくかも把握をしておく必要があります。「◯◯といえば株式会社△△」「◯◯の第一人者」の”◯◯”は何でしょうか?”◯◯”と言われるために自社には何があるでしょうか?

事業を知る

・サービスの想い(ミッション・ビジョン・バリュー)を知る
・ビジネスモデル(事業戦略・収益構造)を知る
・事業を進める上での課題を知る

・差別化のポイント・秀でた技術を知る
・顧客のインサイトを知る
・スポークスパーソンを知る
・事例を知る

企業の全体像を把握することで、事業がなぜ生まれたのかの背景、事業で実現しようとしていることがスムーズに把握でき、事業理解が加速度的に進みます。

事業成長のスピードを上げるために、事業全体の理解はもちろん事業を進める上での課題についても把握しましょう。PRとして課題のどこに注力して共同で解決していくのか、その方法としてどのようなステークホルダーに向けた活動を進めていくのかを検討していきます。

組織を知る

・組織構造(組織図、組織の作り方)を知る
・社内制度・取り組みを知る
・オフィスを知る
・採用を知る
・従業員を知る
・カルチャーを知る

事業と組織は両輪。事業成長する要素があっても、組織が立ち行かなければその実現は困難です。組織の現状を把握した上で社内外の発信を進めることで、採用候補者や従業員などのステークホルダーを巻き込むきっかけとなります。

エンプロイーリレーションズによって、企業にとって重要なステークホルダーである従業員に対して、企業理念・ビジョン、経営方針など、組織の価値観に対する理解の醸成を進めることも可能です。また、採用候補者に対して、自社の組織・カルチャーについて積極的に情報発信することで、認知獲得による候補者を集め”だけ”ではなく、自社の価値観と候補者の価値観(前提)の乖離をなくし適切な前提知識を持ってもらった状態、期待値のズレが少ない状態で面談を進めることも可能です。

ひとり広報のミッション3:業界を知る

広報初心者

PR戦略は経営戦略に紐づいて策定されます。経営・事業へ寄与した活動をするためにも、業界の動向、競合の状況把握は欠かせません。社外に発信する際のメッセージやトンマナ、どのようなポジションをとるのかを検討する上で上でおさえておく必要があります。

また、PRの特徴は営業上の競合が仲間になることです。同じ市場を盛り上げていく仲間として、連携した情報発信を行ったり、業界団体や第三者委員会を作り共同での活動を進めても良いでしょう。業界知識を蓄積することで、業界に強いメディアとの連携を深めることも可能になります。また、クリッピングサービスなどを活用し、自社がどのような立ち位置で報道されてきたかを確認することも大切です。

業界全体を知る

・業界地図を知る
・各社の特徴を知る
・業界のトレンドを知る
・業界の有識者を知る
・業界のインフルエンサーを知る

業界の全体像を把握することで、業界が世の中でどのような位置付けになっているのか、その中での自社の立ち位置を明確にしていきます。

業界のトレンドを理解し、そのトレンドに紐付け自社・事業について語ることで、メディアや顧客の目に留まること機会が創出されます。また業界のインフルエンサーを巻き込むことも、自社の信頼性を向上させるために活用できる1つの手法です。業界にとってどんなステークホルダーがいるのかを理解しましょう。

競合を知る

・ビジネスモデル(事業戦略・収益構造)を知る
・自社との違いを知る

・キーワードを知る
・スポークスパーソンを知る
・事例を知る

競合調査は言わずもがな、PRでももちろん必要です。自社が一番手なのか、追随する立場なのかでも情報発信の方法は変わります。また、発信する上でどう差別化するかも把握しておく必要があります。

競合がどのようなキーワード・テーマで市場を作ろうとしているのか、またどんなステークホルダーを巻き込み活動しているのかを調査し、そこにあえて挑むのか、別の方向で戦うのかを検討しましょう。

顧客を知る

・顧客の特徴を知る
・顧客の課題を知る

・顧客とのタッチポイントを知る
・顧客のスケジュールを知る

情報発信を積極的におこなったところで、ステークホルダー(利害関係者 / 情報発信の対象者)の興味のない内容や検討が難しいタイミングであれば、興味を持ってもらうことができません。情報発信・関係構築の効果を最大化させるためにも、顧客についての理解を深めましょう。

例えば人事が顧客になる場合、「人事の年間行事(新卒採用、内定式、配属検討)はどうなっているのか?」「予算策定はいつから検討するのか?いつ決定するのか?」「人事の繁忙タイミング」などのスケジュールを把握し、適切なタイミングでの情報発信を進める必要があります。

ひとり広報のミッション4:社会を知る

ひとり広報 年間計画

社会と合意形成を行うためには、自社との社会との接合点を見つける必要があります。

・社会トレンド(オリンピックなどマスのトレンド)
・政治トレンド
・年間トレンド
・技術トレンド
・社会の課題

そのため自社が解決しようとしてる課題や想いに対して、社会がどのように捉えているのか、世の中の課題感はどこにあるのかなどを常に観察しておく必要があります。

また、メディアの力を活用し、情報を伝播・拡散させていくには社会トレンドとの紐付けが欠かせません。PR・広報年間計画と合わせて、ニュースになりそうな活動を把握するための「社会の年間計画」を作りましょう。

政府が施行する法改正や”働き方改革”などの注力する取り組み、花見や新生活、長期休暇といった世の中の毎年の定例行事など、世の中が興味を持ちやすいこと(=マスコミが取り上げやすいこと)をカレンダーにすることで、情報発信の際の社会と自社の接合点が検討しやすくなります。

ひとり広報のミッション5:PR・広報の業務を知る

ここまでくれば、実現に向けた活動を整理していきましょう。

対象となるステークホルダーとの合意形成の方法は多岐にわたりますが、ひとり広報・PRの役割として求められやすいメディアリレーションズを中心に解説していきます。

戦略の考え方を知る

PR戦略 ひとり広報

PRは経営戦略・全社戦略と紐付けたものでなければ、その価値提供の範囲が狭まってしまいます。

PR戦略・広報戦略を策定する上で、いきなりプレスリリースの配信方法や記者会見の検討を進めるのではなく、適切なステップに沿って戦略を策定していきましょう。「3、PR・広報計画の立案」からスタートされる企業が多いのですが、実は特に重要なのは見落とされがちな「1、経営戦略・事業戦略とのすり合わせ」「2、経営戦略に沿ったPR活動の立案」。

PR=メディアでの情報発信と誤解されていることが多く、安い広告と認識されかねないからこそ、経営戦略と紐付けが欠かせません。1人で広報・PRを担当していると活動できるリソースは限られています。チャレンジしたくても全てに対応することができないからこそ、その時々によって変わる全社の課題、事業・部門の課題にどう寄り添っていくのか優先順位をつけなければいけません。PR戦略・広報戦略を単独で策定するのではなく、企業や事業の全体方針に合わせて目標を設定、活動を進めましょう。

PR・広報戦略を初めて作成するに企画する際の流れや内容をまとめましたが、ひとり広報・PRでここまで初めからスタートするのは難しいかもしれません。必要に応じて、フリーランスやPR会社に頼るのも検討してみてください。

メディアリレーションズとその業務を知る

メディアリレーションズはメディア(新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、webメディア)との関係構築を進める活動です。記者や編集者との関係構築によって自社やサービスをメディアに取り上げてもらう”パブリシティ”の獲得を狙います。

PRの仕事といえばメディアの露出獲得(パブリシティ)と言われるほど、イメージの強いメディアリレーションズ。PR=安い広告と誤解されるきっかけにもなっていますが、PRパーソンにとってのメディアとの関係構築の重要性に疑う余地はありません。メディアリレーションズの概要についてはこちらで説明していますので、ここではメディアリレーションズ構築のための主な手法について解説をしたいと思います。

メディアリレーションズを構築するための手法は大きく、主体的に構築する攻め・アウトバウンドの手法と、仕組みを構築することによる受動的・インバウンドの手法の2つに分けることができます。アウトバウンドの活動を進めつつ、関連するテーマが話題化するタイミングでメディアから問い合わせがくる仕組みを作っていくことが中長期ではポイントになってきます。

アウトバウンドの手法

こちらから主体的にメディアとの関係構築を進める方法として、メディアキャラバン(メディアへ直接連絡をし自社の紹介をする活動)や、プレスリリースの配信、記者会見などのイベントの開催があります。

メディアに取り上げてもらうためにはニュースバリューが必要です。そのポイントは多岐に渡りますが、媒体ごとに求めるニュースバリューは異なります。マスメディアであれば、より広く消費者が気になるポイントを、専門媒体であれば、その業界やテーマの最新情報を求めていますので、媒体ごとに切り口を変えて折衝する必要があります。

どんなメディアに対したアプローチしていくか、プレスリリースについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

インバウンドの手法

メディアがあるテーマについて調べた際に、第一人者として認識される仕組みづくりを中期的に作っていくことが効果的です。

たとえば、「〇〇といえば△△」の”〇〇”を作れていますか?メディアが取材先を探す際には、webで検索ワードを打ち込み対象を探します。その際にそのテーマに関連する情報について幅広く発信している企業として認知されることで、取材先の優良候補として選定してもらうことができます。例えば定期的に関連するデータを配信する(例えばリクルートの採用動向や、住みたい街ランキングなど)ことや、定期的に業界の最新動向を共有するような懇親会を開催することで、第一想起をしてもらえる機会が増えます。

また、自社のオウンドメディア(ブログ)やサイトで関連する情報を定期的に発信つづけることも効果的な手法の1つです。

メディアリレーションズ以外のPR活動

メディア以外にも関係構築が必要なステークホルダーは多数います。それぞれのステークホルダーとの関係構築をするめるための方法もトンマなも異なります。PRの教科書を参考にしてみてください。

PRパーソンは自身の知見を人に共有して、ともに世の中をハッピーにしていこうと考える素敵な方が多くいらっしゃいます。ぜひわからないところはPRパーソンに相談してみてはいかがですか?

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